パリパリとした生地にとろっとしたクリームが詰められているポルトガルの伝統菓子、エッグタルトのレシピ

エッグタルトの歴史
ポルトガルではパステル・デ・ナタとかパステル・デ・ベレンとも呼ばれるエッグタルト。元はポルトガルの首都リスボンのベレンにあるジェロニモス修道院の修道女たちによって、18世紀以前に発明されたと言われています。
ポルトガルのお菓子は卵の黄身を使ったお菓子が多くてすごく濃厚です。旅行でポルトガルのポルトに滞在したことがあるのですが、毎日続けて食べていると少し胸焼けしてしまいそうなほどでした。
なぜ黄身を使ったお菓子が多いのかというと、昔は修道院で卵の白身をアイロン糊として使っていて、余った黄身の使い道としてお菓子に多く使われるようになったと聞いたことがあります。
ボルドーのカヌレのお菓子も、ワインの澱をとるために卵白を使っていた余りの卵黄を使ったのが起源と言われています。卵白の使い道って結構多かったんですね。昔は「卵白消費」ではなくて「卵黄消費」レシピの方が多かったのではないでしょうか。
各国のエッグタルト
エッグタルトには今回のポルトガルのパステル・デ・ナタを始めイギリスのカスタードタルト、中華料理のエッグタルト、そして香港やマカオにも存在します。
エッグタルトの生地を大別するとクッキーのようなタルト生地で作るものとパイ生地で作るものの2種類があります。
レシピを見てみるとイギリス、中国はタルト生地。
ポルトガルはパイ生地。
そしてポルトガルの統治下にあったマカオはパイ生地が主流。
そして英国統治下にあり中国ともマカオとも近い香港はタルト生地で作るものとパイ生地で作るもの両方があるという、ちょっとレシピで世界史が見えてくる感じがするお菓子です。
ポルトガルのエッグタルト、パステル・デ・ナタ
日本で流行ったこともあるので買って食べたこともある方も多いと思いますが、パリパリとした生地にとろっとしたクリームが詰められているひと口サイズのお菓子です。
パイ生地にカスタードクリームでもできるのですが、今回はポルトガルで作られている伝統的な作り方にしてみました。
伝統的な作り方だと、フランスのパイ生地のように小麦粉生地にバターを折り込んでいくのではなく、薄くのばした小麦粉の生地にバター(またはラード)を薄く塗り、渦巻き状に丸めていきます。それを縦に薄くスライスして型に敷き込むと、小麦粉の層とバターの層がパイ生地のようにできている、という原始的なパイ生地の作り方という感じの作り方です。
(書くと少しわかりにくいので、動画や下記の写真も参考にしてみてください!)
そしてこの作り方を見た時頭に浮かんだのはナポリのお菓子、スフォリアテッラ。
スフォリアテッラもまさに小麦粉生地を薄くのばして、ラードを塗りくるくると巻いてスライスし、それを渦の中心を押し出すようにして貝のようなかたちを作りリコッタクリームを入れて焼いたお菓子なんです。
まさにパイ生地の原型という感じの生地の作り方ですが、この生地の作り方だと折り込みパイ生地で作るよりもよりパリパリとした感じになります。スフォリアテッラを食べたことがある方ならわかると思いますが、パリパリで口が切れそうになるくらいパリッパリになります。
中に入れるクリームも普通のカスタードクリームではなく、シロップを加えてより滑らかな口当たりに仕上がるレシピです。
手作りスフォリアテッラのレシピはこちら
ポルトガルエッグタルトの作り方
タルト生地
ボウルまたはスタンドミキサーに強力粉、サイコロ状に切ったバター、塩を加えて混ぜ合わせます。
冷水を少しづつ加えます。ツヤが出てひとつにまとまり、生地が手に付かない・生地ののびがよくなるまでよくこねます。
打ち粉をふった台の上で練ってひとまとめにします。ラップに包み冷蔵庫で1時間以上休ませます。
カスタードクリーム
シロップを作ります。小鍋にグラニュー糖、水、シナモンスティック、レモンの皮を入れて火にかけ、沸騰させてグラニュー糖を溶かします。
別の鍋に薄力粉とコーンスターチを入れ、牛乳を少しづつ注ぎながらホイッパーで混ぜ溶かします。
火にかけてホイッパーで底が焦げないように中火で混ぜ続けます。クリーム状になるまで加熱します。
シロップを加熱したクリームに少しづつ加えて溶きのばします。
卵黄をひとつづつ加えてよく混ぜます。
こし器でクリームをこし、注ぎやすい容器に移しておきます。
仕上げ
打ち粉を叩いた台の上にタルト生地を置き、めん棒で25x35cmほどの長方形にのばします。生地を縦長に置きます。
ハケなどを使って上面一帯に薄くバターを塗ります。
右側から¼、左側から同じく¼折り返して中心を合わせます。
また上面にバターを薄く塗ります。
下側からくるくると生地を巻いていきます。まき終わったらラップで包み、30分〜1時間ほど冷蔵庫で冷やします。
タルト生地を12等分します。(カットした生地は丸く渦巻き状になっています)
バターを薄く塗った型にカットした生地をのせ、指の腹を使って型にそうように薄くのばしていきます。底の部分が焼けにくいので、底の部分の生地を若干薄めにのばします。
8分目くらいまでクリームを注ぎ入れます。
250度に予熱したオーブン(ファンを回した状態)で、8分ほど焼きます。
焼き立ての温かいうちに召し上がって下さい!
普通のパイ生地とカスタードクリームとは違うので少し作りにくい印象もあったのですが、出来立てを食べてみてポルトガルで食べたエッグタルトはこれだー!!とちょっと感動したレシピです。
独特のタルト生地のパリパリ感とトロッとしたクリームを楽しんでください!
使用する道具
エッグタルトの型はマフィン型よりは小さく、一般的な小さいタルト型よりちょっと深め。私はそんなに頻繁に作らないので使い捨てのアルミカップのものを買おうと思っていたのですが、繰り返し使えるものの方が値段が安かったのでそちらを買いました。
使い捨てのものはそのままプレゼントにもできるので、用途に合わせて選んでください。
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Print本格!ポルトガルエッグタルトのレシピ
- Total Time: 2 hours 38 minutes
- Yield: 12個分 1x
Description
パリパリとした生地にとろっとしたクリームが詰められているポルトガルの伝統菓子、エッグタルトのレシピ
Ingredients
タルト生地
- 100g 強力粉
- 25g 無塩バター(生地に混ぜ込む用)
- 2g 塩
- 60ml 冷水
- 60g 無塩バター(室温において柔らかくしたもの、生地に塗る用)
カスタードクリーム
- 100g グラニュー糖
- 90ml 水
- 1本 シナモンスティック
- ½個 レモンの皮
- 12g 薄力粉
- 8g コーンスターチ
- 150ml 牛乳
- 3個 卵黄
Instructions
準備
- 型に薄くバターを塗っておきます。
タルト生地の中に塗るバターを常温に戻して柔らかくしておきます。
タルトをオーブンで焼く10分前に250度に予熱しておきます(ファンを回した状態)。
タルト生地
- ボウルまたはスタンドミキサーに強力粉、サイコロ状に切ったバター、塩を加えて混ぜ合わせます。
- 冷水を少しづつ加えます。ツヤが出てひとつにまとまり、生地が手に付かない・生地ののびがよくなるまでよくこねます。
- 打ち粉をふった台の上で練ってひとまとめにします。ラップに包み冷蔵庫で1時間以上休ませます。
カスタードクリーム
- シロップを作ります。小鍋にグラニュー糖、水、シナモンスティック、レモンの皮を入れて火にかけ、沸騰させてグラニュー糖を溶かします。
- 別の鍋に薄力粉とコーンスターチを入れ、牛乳を少しづつ注ぎながらホイッパーで混ぜ溶かします。
- 火にかけてホイッパーで底が焦げないように中火で混ぜ続けます。クリーム状になるまで加熱します。
- 1. のシロップを3. の加熱したクリームに少しづつ加えて溶きのばします。
- 卵黄をひとつづつ加えてよく混ぜます。
- こし器でクリームをこし、注ぎやすい容器に移しておきます。
仕上げ
- 打ち粉を叩いた台の上にタルト生地を置き、めん棒で25x35cmほどの長方形にのばします。生地を縦長に置きます。
- ハケなどを使って上面一帯に薄くバターを塗ります。
- 右側から¼、左側から同じく¼折り返して中心を合わせます。また上面にバターを薄く塗ります。
- 下側からくるくると生地を巻いていきます。まき終わったらラップで包み、30分〜1時間ほど冷蔵庫で冷やします。
- タルト生地を12等分します。(カットした生地は丸く渦巻き状になっています)
- バターを薄く塗った型にカットした生地をのせ、指の腹を使って型にそうように薄くのばしていきます。底の部分が焼けにくいので、底の部分の生地を若干薄めにのばします。
- 8分目くらいまでクリームを注ぎ入れます。
- 250度に予熱したオーブン(ファンを回した状態)で、8分ほど焼きます。
- あら熱がとれた温かいうちに召し上がって下さい!
- Prep Time: 1 hours
- 生地を休ませる: 1 hour 30 minutes
- Cook Time: 8 minutes
- Category: 焼き菓子
- Cuisine: ポルトガル
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