イタリア・ナポリ地方の名物の焼き菓子、スフォリアテッラ。薄くのばしたパイ生地を何層にも重ねて作る、本格的なパリパリ食感を楽しめるスフォリアテッラのレシピをご紹介します!
スフォリアテッラとは
スフォリアテッラとはイタリア・ナポリが発祥の伝統菓子です。イタリア語で何層にも重なったという意味で、中のクリームを覆う皮のパリパリさが特徴のお菓子です。
以前はナポリ以外で手に入れるのは難しかったですが、最近ではイタリア全土で人気になりイタリア全土で見かけるようになりました。
スフォリアテッラの歴史
スフォリアテッラが生まれたのは1600年代のアマルフィ海岸にあったサンタローザ修道院と言われています。
修道女の1人が牛乳に浸していたセモリナ粉の残りを捨てるのがもったいないと、リコッタ、ドライフルーツ、レモンリキュール(今日のリモンチェッロ)を加えて加熱してクリームを作ることを思いつきます。
ラードと白ワインでのばした小麦粉の生地を修道女の頭巾のかたちに作り、そこにそのクリームを詰めたのがこのお菓子の始まりと言われています。ただその頃のお菓子は修道院の名前をとってサンタローザと呼ばれていて、サワーチェリーとクリームのトッピングがされていました。
そしてスフォリアテッラが今の名前とかたちになるのはその200年後の1800年初頭。
パスクアーレ・ピンタウロという人物がこのお菓子に感銘を受け、ナポリ中心部トレド通りでサンタローザにアレンジを加えたお菓子を売り出しました。チェリーとクリームのトッピングを除き、生地をもっと薄くしてかたちも貝殻のようなかたちに変えました。
それが現在のスフォリアテッラの始まりで、名前もサンタローザからスフォリアテッラ(スフォリアテッラが単数形、複数形でスフォリアテッレ)に変わりました。
ちなみにこのピンタウロ Pintauro のお店はまだナポリにあるそうです。(Via Toledo, 275, 80132 Napoli)
(1860年創業のナポリの老舗カフェ、ガンブリヌスのサイトにスフォリアテッラの起源というコラムがあるのでそちらにも詳しい説明があります。ガンブリヌスはネットフリックスでドキュメンタリーにもなった、「一杯のコーヒーを飲むときに、裕福ならば二杯分の代金を支払い、貧しくてコーヒー代も支払えない人のために使ってもらうという制度・カフェソスペーゾ」でも有名なバールです。)
パイ生地の層の作り方
スフォリアテッラの生地はうす〜くのばした生地をラードと交互の層にすること。その生地を加熱するとラードが溶けて生地が揚がったような状態になります。ラードの層は溶けて水分が蒸発するため空洞になり、揚げられてパリパリになった生地の層だけが残ります。
以前のポルトガルのエッグタルトのレシピでも、今回のスフォリアテッラと同じように生地を薄くのばして巻いていくやり方をしています。
バターで作る折り込みパイ生地が現在では主流なので、この生地をうすくのばして巻くやり方は昔のやり方なのかとずっと思っていました。
なのですがフランスでパイ生地のようなものが初めて作られたのは1600年代、そこからアントナン・カレームが今のパイ生地としての技術を確立したのが1800年代なのでちょうどこのスフォリアテッラができてきた時代と同じくらい。
なので生地を薄くのばす方法にしても、折り込みパイ生地にしてもどちらも同じ時期に同様に作られていたようです。なのでこの生地を薄くのばして作る方法は、昔のやり方というよりはフランス菓子が世界的に広がった今あまり知られていない作り方なのかもしれません。
スフォリアテッラ 生地に使うのはラード、バター?
現在ではお菓子作りにはバターを使うことがほとんどだと思います。なのですがイタリアではローマ時代からラードを使ってきた文化があり、伝統菓子や郷土料理のレシピにはラードが頻繁に出てきます。
このレシピもラードをバターに置き換えても作ることができます。バターを使うとサクサク、ラードを使うとパリパリとした食感になります。スフォリアテッラはパリパリとした食感が特徴なので、手に入ればラードで作ってみるのがおすすめです。かなり本物に近い食感になります。
材料
スフォリアテッラ生地
- 強力粉 - 生地をかなり薄くのばすので、パンを作るときに使うようなグルテンの含有量が多い小麦粉を選んで下さい。
- 塩
- はちみつ - はちみつを入れると綺麗な焼き色がつくので少量でも入れるのがおすすめです。
- 水
フィリング
- 牛乳
- セモリナ粉 - パスタの原料になるセモリナ粉。クスクスにも使われるプチプチとした食感が特徴の粉です。
- リコッタチーズ - 市販のものでもいいですが、牛乳から簡単に作れます。レシピはこちら。
- グラニュー糖
- 卵
- オレンジピール - オレンジピールが手に入らなければ、レモンピールでも大丈夫です。
組み立て
- ラード - 豚肉の脂肪を固めて作られるラード。ラードは精製した豚脂100%のものを「純製ラード」、精製した豚脂がに他の油脂を混ぜて作られたものが「調製ラード」と定義されています。ですので「純正ラード」と書かれたものを選ぶといいと思います。
スフォリアテッラの作り方
準備
- オレンジピールは角切りにしておきます。
- ラード(またはバター)は使う前に室温に戻して柔らかくしておきます。
- 天板にオーブンシートを敷いておきます。
- オーブンは使う前に200度に予熱しておきます。
スフォリアテッラ 生地
ボウルに強力粉、塩、はちみつを入れます。ボウルの中央にくぼみを作り、水を少しづつ注ぎ入れ混ぜ合わせます。
粉が全部水を吸ってひとかたまりになったらボウルから生地を出して、軽く打ち粉をした台の上でなめらかになるまで捏ねます。ラップをして1時間以上(できれば一晩)、冷蔵庫で休ませます。
フィリング
鍋に牛乳を入れて火にかけて温め、セモリナ粉を加えます。セモリナ粉が牛乳の水分を吸ってクリーム状になるまで1分程度、混ぜ続けます。
火から下ろしてリコッタとグラニュー糖を加えて混ぜます。さらに卵、オレンジピールを加えて混ぜます。
生地をのばす
生地を6等分します。
打ち粉をした台の上に6等分した生地のひとつを置き、手で軽く丸めてからめん棒で縦35cmx横25cmほどの長方形にのばします。生地は手が透けて見えるくらい、紙のように薄〜くのばしてください。
生地をうす〜くのばすことがポイントです。生地が厚くなってしまうと、口当たりが悪くなってしまいます。お持ちであればパスタマシーンを使うと便利です。
生地を縦長に置き、手前部分を1〜2cm程度、少し巻きます。
巻いた部分の上部全体の生地にハケなどを使って薄くラードを塗ります。
手前から巻いていき、巻き終わりの部分を少し残しておきます。
6等分した生地のもうひとつを同じようにめん棒で延ばしラードを全体に薄く塗り広げます。先ほどの生地と巻き終わりの部分を繋げます。
1つ目と2つ目を合わせた生地をくるくると巻いていきます。最後まで巻いてしまわずに、巻き終わりの部分を次の生地と繋げるために少し残しておきます。
同じ作業を生地がなくなるまで繰り返します。最終的にロール状のひとつの生地ができます。ラップで包んで冷蔵庫で1時間以上生地を休ませます。
クリームを詰めて焼く
生地のサイドを切り落とし、1cmの厚みにカットしていきます。
最初にめん棒で生地を軽く押し潰します。渦巻き状になっている生地の中心を指でゆっくりと押し出し、貝殻ようなかたちを作ります。
中にクリームを詰めて、生地の外側の口を閉じてオーブンシートを敷いた天板に並べていきます。
予熱した200度のオーブンで25分ほど焼きます。
保存
タッパーなどの保存容器に入れて、常温で2日ほど保存できます。
使用する道具
このレシピのために買う必要はないですが、パスタマシーンをお持ちでしたらぜひ生地をのばすのに使用するのがおすすめです。イタリアではタルト生地なんかもオーブンペーパーに挟んでパスタマシーンでのばしたりします。生地が冷たいままでも均等にきれいに生地がのびてくれるので本当に便利です。
と言いながら、うちにも引越ししてから一年以上使っていないパスタマシーンがあって、今回もそれを組み立てて使うのが面倒で結局使わなかったです。購入を検討されている方は使う頻度があるのか慎重に検討を・・・
めん棒でのばす場合はできるだけ長さ&重みがあるものを選ぶと、生地が均等にあまり力を入れずにのばせます。
他のイタリア菓子のレシピを見る
パリパリ食感!イタリア・ナポリの伝統菓子、スフォリアテッラのレシピ
- Total Time: 3 hours 25 minutes
- Yield: 16個 1x
Description
薄くのばしたパイ生地を何層にも重ねて作るイタリア・ナポリ地方の銘菓スフォリアテッラ 。本格的なパリパリ食感を楽しめるレシピです。
Ingredients
スフォリヤテッラ生地
- 200g 強力粉
- 4g 塩
- 80ml 水
- 小さじ1 (7g) はちみつ
クリーム
- 100ml 牛乳
- 40g セモリナ粉
- 150g リコッタチーズ
- 50g グラニュー糖
- 1個 卵
- 50g オレンジピール
組み立て
- 100g ラード(または無塩バター)
Instructions
準備
- オレンジピールは角切りにしておきます。
ラード(またはバター)は使う前に室温に戻して柔らかくしておきます。
天板にオーブンシートを敷いておきます。
オーブンは使う前に200度に予熱しておきます。
生地
- ボウルに強力粉、塩、はちみつを入れます。ボウルの中央にくぼみを作り、水を少しづつ注ぎ入れ混ぜ合わせます。
- 粉が全部水を吸ってひとかたまりになったらボウルから生地を出して、軽く打ち粉をした台の上でなめらかになるまで捏ねます。ラップをして1時間以上(できれば一晩)、冷蔵庫で休ませます。
フィリング
- 鍋に牛乳を入れて火にかけて温め、セモリナ粉を加えます。
- セモリナ粉が牛乳の水分を吸ってクリーム状になるまで1分程度、混ぜ続けます。
- 火から下ろしてリコッタとグラニュー糖を加えて混ぜます。
- 卵を加えて混ぜます。
- オレンジピールを加えて混ぜます。
生地をのばす
- 生地を6等分します。
- 打ち粉をした台の上に6等分した生地のひとつを置き、手で軽く丸めてからめん棒で縦35cmx横25cmほどの長方形にのばします。生地は手が透けて見えるくらい、紙のように薄〜くのばしてください。
- 生地を縦長に置き、手前部分を1〜2cm程度、少し巻きます。
- 巻いた部分の上部全体の生地にハケなどを使って薄くラードを塗ります。
- 手前から巻いていき、巻き終わりの部分を少し残しておきます。
- 6等分した生地のもうひとつを同じようにめん棒で延ばしラードを全体に薄く塗り広げます。先ほどの生地と巻き終わりの部分を繋げます。
- 1つ目と2つ目を合わせた生地をくるくると巻いていきます。最後まで巻いてしまわずに、巻き終わりの部分を次の生地と繋げるために少し残しておきます。
- 同じ作業を生地がなくなるまで繰り返します。最終的にロール状のひとつの生地ができます。ラップで包んで冷蔵庫で1時間以上生地を休ませます。
クリームを詰めて焼く
- 生地のサイドを切り落とし、1cmの厚みにカットしていきます。
- 最初にめん棒で生地を軽く押し潰します。渦巻き状になっている生地の中心を指でゆっくりと押し出し、貝殻ようなかたちを作ります。
- 中にクリームを詰めて、生地の外側の口を閉じてオーブンシートを敷いた天板に並べていきます。
- 予熱した200度のオーブンで25分ほど焼きます。
- Prep Time: 1 hours
- 生地を休ませる時間: 2 hours
- Cook Time: 25 minutes
- Category: 焼き菓子
- Cuisine: イタリア
コメントを残す