オーブンでりんごをじっくり焼いて作る、角がはっきり出るタルトタタンのレシピです。
角がしっかり出るタルトタタンを作るには?
タルトタタンはりんごをキャラメルで煮固めてその上からタルト生地をかぶせて焼いたフランスの伝統菓子のひとつです。
以前のタルトタタンの投稿でも書いてますが、タルトタタンお菓子の由来ははフランス・ロワール地方でホテルを経営していたタタン姉妹がある日りんごのタルトを作っていたら下にタルトを敷くのを忘れてしまい、仕方なく上に被せて焼いたところ驚くほど美味しいお菓子が出来上がっていた、というものです。
現在でもメゾン・タタンという、名前の由来となったレストランとホテルが残っているみたいです。
以前タルトタタンを作ったときにはりんごを長時間加熱しても煮崩れしない、かたちが残るりんごを探して作りました。
なのですがその後スパイラル・タルトタタンを作ってから、りんごのかたちがわからない、りんごを溶かして固めたような角がはっきり出るタルトタタンを作りたくなりました。
そのためにはりんごのかたちが残る残らないというより、酸味が強いりんごを長時間加熱してジャムを作るような感じで煮固めていく、というような作り方をします。
・・・のはずですがこれが思ったより難しくてりんごが固まらず溶けて流れ出たり普通のタルトタタンとあまり変わらなかったりなかなか難しくうまくできませんでした。
まずりんごの種類。
日本で酸味が強いと言われている紅玉が手に入らなかったので、フランスでタルトタタン向きと言われるりんごの品種(ジョナゴールドとかレネットとか)で試してみたのですがあまりうまくいかず。
結局アップルパイによく使われる酸味の強い青リンゴ、グラニースミスを使ってみたところ、初めて上手くいきました。りんご自体の酸味ではまだ不十分だったので、さらにレモン果汁も多めに加えました。
次にりんごの加熱の仕方。
タルトタタンを作るときはまずフライパンでりんごをバターキャラメルで炒め、それを型に詰め込んでから上からタルト生地をかぶせてオーブンでじっくりと焼きます。
このやり方で長時間加熱してりんごのかたちをなくして、りんご自体のペクチンを引き出して固める方法を最初試しました。ペクチンはりんごや柑橘系の果物に多く含まれていて、ゼリー状に固める役割があります。なので長時間りんごを加熱する+ペクチンを引き出す、で透明感のある、りんごを溶かして煮固めたようなタルトタタンになるのではないかと思いました。
ペクチンが多く含まれているりんごの種の部分や皮も一緒に炒めてペクチンを引き出したり、りんごを炒める時間を長めにしたりしても一向にうまくいかず。市販のペクチンを足してみたら何故か逆に焼き色があまりつかないまま、ひっくり返したら炒めたりんごのままどば〜と散らばりました・・・
そしてスパイラル・タルトタタンのやり方を思い出して、りんごを炒めずにバターキャラメルの上に直接並べてオーブンで長時間焼く方法にしました。結果、これでなんとか成功!
スパイラル・タルトタタンのときも思ったのですが、りんごを前もって炒めずに直接バターキャラメルと合わせてオーブンで焼くと、じっくりキャラメルがりんごに浸透するせいか透明度が高く味もりんごのキャラメルソテーではなくキャラメル煮という感じの、飴やコンポートに近いすっきりした味わいになります。バターも多めに入っているのに不思議な感じですが。
オーブンで焼く時間が長いですが、普通のタルトタタンの作り方と違って前もってりんごをソテーしなくてもいいので楽です。
材料
土台(パート・ブリゼ)
市販のタルトまたはパイ生地でも代用できます。市販のパイ生地の選び方・使い方はこちらの記事も参考にしてみてください。
- 薄力粉
- 無塩バター
- 卵黄
- 塩
- 水
りんご部分
- りんご(グラニースミス)- 酸味の強いりんごを使ってください。
- グラニュー糖
- レモン汁 - りんごのペクチンを引き出してタルトタタンをしっかり固めるために必要です!
- 無塩バター
作り方
準備
使う10分前にオーブンを160度に予熱しておきます。
土台(パート・ブリゼ)
ボウルに薄力粉、バター、塩を入れてスケッパーでバターを切り刻みながら混ぜ合わせます。
卵黄と水を加えて生地がまとまるまで混ぜます。
生地をラップに包んで平らにし、冷蔵庫で1時間〜ひと晩休ませます。
冷蔵庫から生地を取り出し、ラップのあいだに挟んで15cmの円形にのばします。
フォークで全体に穴を開けて冷蔵庫で使うまで冷やしておきます。
りんご部分
りんごの皮をむき芯を取り、8等分にします。(りんごは皮をむき芯を取ったあと550g程度でした。)
型にグラニュー糖を入れてカラメルを作ります。(オーブンにそのまま入れられる型を使っているので直接型でカラメルを作っていますが、そうでなければ鍋でカラメルを作ってから型に注ぎ入れて下さい。)色づいたら半分の量のバター(40g)を加えて溶かします。
レモン汁を加えて混ぜます。レモン汁の分量が多めなのでカラメルが少し分離したようになりますが、弱火で少し煮詰めると元に戻ります。
りんごを並べます。できるだけ隙間なくぎっしりと並べます。底におさまらないときは上に重ねて置いて下さい。
上に残ったバター(40g)を散らしてのせます。
予熱した160度のオーブンで45分〜1時間ほど焼きます。途中、りんごに焼き色がついてきたらオーブンから取り出し、型のかたちに丸くくり抜いたクッキングシートをりんごの生地の上にのせて、その上からひとまわり小さいケーキ型や耐熱容器をのせて焼きます。
(ちょうどよい型がなければフライ返しなどを使って上から軽く押して高さを均一にし、上にアルミホイルをかぶせて焼きます)。
タルト生地をのせて160度のオーブンでさらに30分〜45分、タルトが焼けてりんご部分に褐色の焼き色がつくまでしっかり焼きます。
焼けたら常温でしっかり熱をとってから冷蔵庫で冷やします。
型から抜くときは型の底を軽く温め、側面にナイフを入れてりんごの生地を型から外します。
上下を返してできあがりです。
タルト生地を別に焼く方法
今回はりんごのキャラメリゼの上にタルト生地を置いてオーブンで焼いていますが、別にタルト生地(またはパイ生地)を焼いて後からりんごと合わせたいという方はスパイラル・タルトタタンのレシピを参考にしてみてください。
タルトタタンの保存・日持ち
冷蔵庫で保存して、3日くらいは日持ちします。おいしく食べるにはできたてから翌日くらいまでには食べ切って下さい。
タルトタタンは冷えた状態でもおいしいですが、生暖かい状態でもおいしいです。前にパリのサンルイ島にあるカフェでタルトタタンを食べたとき、オーブンの上にタルトタタンがのせてあって(オーブンの上は温かいのでパンを発酵させるときなどにも使います)、注文するとそこからカットして出してくれるのですが、タルト生地はサクサクでりんご部分のキャラメルバターが程よく溶けていて、この生暖かい状態がとてもおいしかったのでおすすめの食べ方です。家であれば温めたオーブン(170度くらい)の電源を切ってからタルトタタンを5分くらい入れておくと同じような状態になるかと思います。
使用する道具
使用した型は、スパイラル・タルトタタンでも使ったティファールの鍋です。本来お菓子の型ではないのですが、火にもかけられてオーブンでも使えるので、キャラメルを作ってりんごを並べてオーブンで焼く、という全部の工程を一つの鍋でできるのでかなり楽です。厚みもあるのでりんごに柔らかく火が入るのもいいです。
もちろん普通のお菓子の型でも作れます。その場合は底の抜けない型を使用してください。
りんごのタルト・パイのレシピ
タルト・パイのレシピ
Printオーブンでじっくり焼く、プロが教えるタルトタタンのレシピ
- Total Time: 1 hour 55 minutes
- Yield: 8人分(15cm丸型 1台分) 1x
Description
オーブンでりんごをじっくり焼いて作る、角がはっきり出るタルトタタンのレシピです。
Ingredients
土台(パート・ブリゼ)
- 60g 薄力粉
- 30g 無塩バター
- 1個 卵黄
- ひとつまみ 塩
- 小さじ1 水
りんご部分
- 5個 りんご(グラニースミス)*皮をむき芯を取ったあと550g程度でした
- 150g グラニュー糖
- 1個(40ml)レモン汁
- 80g 無塩バター(40g カラメル用、+ 40g 上にのせる用)
Instructions
準備
- 使う10分前にオーブンを160度に予熱しておきます。
土台
- ボウルに薄力粉、バター、塩を入れてスケッパーでバターを切り刻みながら混ぜ合わせます。
- 卵黄と水を加えて生地がまとまるまで混ぜます。
- 生地をラップに包んで平らにし、冷蔵庫で1時間〜ひと晩休ませます。
- 冷蔵庫から生地を取り出し、ラップのあいだに挟んで15cmの円形にのばします。フォークで全体に穴を開けて冷蔵庫で使うまで冷やしておきます。
りんご部分
- りんごの皮をむき芯を取り、8等分にします。(りんごは皮をむき芯を取ったあと550g程度でした。)
- 型にグラニュー糖を入れてカラメルを作ります。(オーブンにそのまま入れられる型を使っているので直接型でカラメルを作っていますが、そうでなければ鍋でカラメルを作ってから型に注ぎ入れて下さい。)色づいたら半分の量のバター(40g)を加えて溶かします。
- レモン汁を加えて混ぜます。レモン汁の分量が多めなのでカラメルが少し分離したようになりますが、弱火で少し煮詰めると元に戻ります。
- りんごを並べます。できるだけ隙間なくぎっしりと並べます。底におさまらないときは上に重ねて置いて下さい。
- 上に残ったバター(40g)をのせます。
- 予熱した160度のオーブンで45分〜1時間ほど焼きます。途中、りんごに焼き色がついてきたらオーブンから取り出し、型のかたちに丸くくり抜いたクッキングシートをりんごの生地の上にのせて、その上からひとまわり小さいケーキ型や耐熱容器をのせて焼きます。
(ケーキ型がなければフライ返しなどを使って上から軽く押して高さを均一にし、上にアルミホイルをかぶせて焼きます)。 - タルト生地をのせて160度のオーブンでさらに30〜45分、タルトが焼けてりんご部分に褐色の焼き色がつくまでしっかり焼きます。
- 焼けたら常温でしっかり熱をとってから冷蔵庫で冷やします。
- 型から抜くときは型の底を軽く温め、側面にナイフを入れてりんごの生地を型から外します。
- 上下を返してできあがりです。
- Prep Time: 30 minutes
- Additional Time: 0 hours
- Cook Time: 1 hour 25 minutes
- Category: レシピ
- Cuisine: フランス
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