チーズケーキやプリンなどは湯煎焼きをするのが一般的ですが、なぜ湯煎焼きをするの?湯煎焼きをしないとどうなるの?と思ったことはないでしょうか。今回は湯煎焼きをする理由について考えてみたいと思います。
湯煎焼きとは
湯煎焼きとはオーブンの天板にお湯をはり、生地が入った型をそこに入れて蒸し焼きの状態にする調理法のことです。
オーブンにスチーム機能があればそちらを使えばいいのですが、スチーム機能がない場合の蒸し焼きの方法といえます。
湯煎焼きの方法
まず湯煎焼きをするとき、底が抜ける型を使う場合は、水が入らないようにアルミホイルで型の底を覆います。
そしてオーブンで湯煎焼きをする方法は主に2つあります。
- バットにお湯を注いでから(バットごと)オーブンに入れる方法
- 型とバットを直接庫内にセットしてからお湯を注ぎ入れる方法
*お湯の量が多く容器が小さいときは動かないように下に布巾などを敷いてください。
1.のバットにお湯を注いでから(バットごと)オーブンに入れる方法の場合、オーブンへ移動するときにお湯がこぼれてしまったりするデメリットがあります。
2.の型とバットを直接庫内にセットしてからお湯を注ぎ入れる方法の場合、お湯を注ぎ入れるためにオーブンを長く開けることでせっかく予熱したオーブンの温度が下がってしまうこと、
またお湯を注ぎ入れる際にオーブンのふちなどでやけどしてしまう可能性もあることなどがデメリットです。
どちらもやけどしやすいので、できるだけやりやすい方法で作ってみることをおすすめします。
天板がないときの代用
天板だと大きすぎたり浅すぎたり、そもそも天板を持っていない!という場合は生地を入れた型よりひとまわり大きい容器を使うこともできます。
オーブンに使える鍋や取っ手のないフライパン、ステンレスのバットやグラタン皿の耐熱容器などで代用できます。
アルミホイルがないときの代用
底が抜ける型を使ったのにアルミホイルがない!という場合は、ココット皿などの耐熱容器にお湯を入れて生地の入った型のそばに置くこともできます。
その場合、湯煎焼きはオーブンの中、もっというと生地の入った型のそばに水蒸気があることで生地の温度の上昇を防ぐことも目的のひとつなので、できるだけオーブン庫内に水蒸気がたっぷりこもるように量を用意すること、そして指定されているより少し低めの温度で焼くことをおすすめします。
なぜ湯煎焼きをするの?
チーズケーキやプリンなどは湯煎焼きをするのが一般的ですよね。湯煎焼きしたケーキはしっとりと柔らかい、焼いただけのお菓子にはない独特の食感が生まれます。
湯煎焼きするメリット
- たくさんの水分でケーキを蒸し上げるのでしっとり仕上がる。
- ケーキの表面の乾燥を防ぐ。中まで火が通る前に表面が乾いて割れてしまいがちなチーズケーキやプリンなど水分の多いお菓子の場合、湯煎焼きすることできれいに仕上がります。
- ケーキの分離や凝固を防ぎ、なめらかな口当たりになる。水蒸気がケーキ本体の急激な温度上昇を妨げ一定の温度を保つので、チーズや卵など温度に敏感な食材にも優しく火が入るのでとてもなめらかな口当たりになります。
なので小麦粉が多く入るパウンドケーキなどはあまりオーブンの温度に気を使う必要がないので、台湾カステラのように特にしっとり仕上げたいという場合以外は湯煎焼きする必要はありません。
逆に焼きカステラなどのように固い食感に仕上げたい場合は、分離しないように温度を気をつけながらではあるものの湯煎焼きをする必要はありません。
湯煎焼きなし・湯煎焼きありで比べてみる
試しにかぼちゃのチーズケーキで湯煎焼きしたものと湯煎焼きしてないものの例をあげてみます。同じ材料・同じ温度(160度)で湯煎焼きをしたかしないかだけで比べてみます。
湯煎焼きなし
焼き上がりはきれいに色がついてなめらかだったのですが、オーブンから出して冷やすとヒビが入ってしまいました。
切ってみると土台のクッキーは水分を含んでいて、さらに下から水分が染み出していました。おそらく高温になりすぎてチーズケーキ部分が分離してしまったのだと思います。
湯煎焼きあり
ケーキ自体に均一に火が入っていて全体的に柔らかいです。チーズケーキが分離することもなく水分も染み出していないので、下のクッキー部分も翌日までカリカリでした。
チーズケーキは湯煎焼きしなければいけない?
チーズケーキは必ず湯煎焼きしないといけないのか?というと必ずしもそういうわけではありません。
パウンド型で作るチーズケーキのレシピでは湯煎焼きせずに作っています。ただこのときオーブンの温度は130度のかなり低温で焼いています。そして120度で同じ時間焼いたら焼けていませんでした。
つまり湯煎にしないと温度調整がかなり難しいんですよね。オムレツもそうだと思いますが、ちょっと温度が上がるとすぐ固まってしまったりします。
なので湯煎焼きにしない場合、
ちょうど火が入るくらいの高温で、
分離しないくらいの低温で、
そして中までしっかり焼けているくらいの温度と時間
の調整が必要になります。
パウンド型だと火が入りやすいのでまだいいのですが、丸型だとさらに中心まで火が入れるのが難しくなります。
そう思うと湯煎にしてしまえばある程度オーブンの温度がいい加減でも水蒸気のおかげで温度の上昇を抑えてくれ、全体的にちょうど良い温度の火が入るので多少焼きすぎても分離や乾燥によるヒビ割れがない湯煎焼きは「失敗が少ない」方法だと言えます。
そのほかにはラズベリーのクランブルチーズケーキのレシピでも湯煎を使っていませんが、表面にクランブルがあるので直接オーブンの熱がチーズケーキ部分に入らず、自然に中が蒸し焼き状態になります。なのでクランブル部分をサクサクさせたい意図もあり、湯煎焼きはしていませんが外はサクサク、中はしっとりと仕上がります。
湯煎のお湯の高さは?
これについては結構いろんなレシピがあってケーキの高さまで入れるというレシピや焼いているあいだになくならない程度のお湯が入っていればいいというレシピまで様々あります。
はっきりとした科学的理由!みたいなものは見つからなかったのですが、私はだいたい生地の半分の高さくらいまでお湯を入れれば十分だと思います。高さがあるチーズケーキだと⅓くらいの水位のときもあります。
なぜかというと、ケーキのまわりにある水蒸気がケーキへの直接の熱を分散させると思うからです。スチームオーブンもそうですが、水がケーキの型に触れているのが重要なのではなくて水蒸気が型のまわりにあるかが重要なのだと思います。
ただ極端な例でいうと、250度とか超高温のオーブンで水がほんの少ししか入れていないという場合は、水に触れていない部分にオーブンの火が直接入ってしまうようなことがあるかもしれないです。(こんなに高温で湯煎焼きをすることはないとは思いますが・・・!)
その場合は湯煎のお湯を増やした方がいいですが、オーブンの温度を上げすぎないということも大切です。
なのでオーブンの温度が高すぎない状態で、生地を入れた型のまわりに常に水蒸気がまわるくらいのお湯の量があればいいと思います。
湯煎焼きで熱いお湯を注ぐ理由
湯煎焼きするときには必ず沸騰したお湯を注ぎます。
湯煎焼きのお湯の温度が低いと、オーブンに入れて温度が上がるまでに時間がかかってしまいます。まあオーブンを予熱するのと同じ理由です。
湯煎焼きに向いているお菓子とは?
湯煎焼きに向いているお菓子はチーズや卵、牛乳など高温で調理すると分離しやすいお菓子。急激な熱によって分離しやすかったり、中まで調理される前に表面が乾いてひび割れができてしまうようなお菓子には湯煎焼きが向いています。
あとは普通にも焼けるけれど、しっとりした食感にしたいお菓子にも向きます。
- チーズケーキ - スフレチーズケーキやニューヨークチーズケーキ、チーズケーキテリーヌなど。
- プリン - クレームキャラメル 、イタリアンプリン、かぼちゃのプリンなど。
- しっとり感が欲しいパウンドケーキやパン - 台湾カステラなど。
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