フランスの初秋に一瞬だけ出回る小さな果実、ミラベル。シンプルに香り高いタルトに。
誰でも、小説で読んだだけの食材とか、目にしたことのない果実や野菜に憧れたことってありませんか?
私にとってミラベルはまさに長い間憧れていた果物でした。
ミラベルとは?
ミラベルは、主にフランスの北東部ロレーヌ地方で生産されるスモモの一種。
大きさはさくらんぼを少し大きくしたくらいの一口サイズで、色は濃い黄色に熟れた部分が赤みがかっています。
味はプラムのようで、酸味がなく甘みがあり果肉が柔らかい癖のない味。
産地も限定されている上に収穫時期も短く、果物屋さんやスーパーに出回る期間がかなり短い。一番早いのが8月の終わりくらいに出始めたら、9月の半ばではもうちらほら。来週買おう、と思っているうちになくなってしまっていることが多いので、見つけたら即、1kgくらい買う。何を作ろうか考えるのはそれから。
食材でも、イタリアのポルチーニ(フランスではセップ)やカルチョーフィ(アーティショー)など、イタリアとフランスで共通していて両方で手に入るものって結構多いのですが、このミラベルはイタリアでは手に入らない。
なのでイタリアに住んでいる時にこのミラベルを見かけてから、ずっと食べてみたい!と思い焦がれていた果物なのでした。
加工されたミラベルは、ほとんがジャムにされ、蒸留酒なども作られます。
このミラベルのタルトにも、もし手に入るならミラベルの蒸留酒を合わせると良いと思います。なければ、キルシュなど手に入りやすい蒸留酒などでも。ミラベルは風味が良く淡い味なので、あまり強く味のつくリキュールは避けた方が良いと思います。
私はちょうど良い蒸留酒が手元になかったので、今回はたまたま家にあった癖のないイタリアのグラッパを使いました。
お菓子作り、砂糖の甘みとお酒の関係を考える
お菓子を作る時、(もちろんお菓子の種類にもよりますが)私はお酒を入れることがよくあります。
お菓子にお酒を使うと言うと、リキュールがたっぷり詰められているチョコレートとかブランデーケーキとか、お酒が前面に出たお菓子を想像するかもしれませんが、お酒の味を前面に押し出すレシピでない限り、そんなことはありません。
お菓子にお酒を使う利点は、甘みのキレが良くなる、と言うことでしょうか。
【保存版】お菓子作りと砂糖 – 砂糖の役割・種類と選び方の投稿でも書いたのですが、お菓子作りで砂糖の量は大事で、やみくもに減らすと生地がパサパサになったりします。それでもやっぱり甘ったるいのは嫌だ、と言う場合はお酒を入れると砂糖の量を変えずに甘ったるさが無くなります。料理と同じで、味に深みも出ます。
あまりお菓子にお酒を使ったことがない、という方はまず手に入りやすく使いやすいキルシュ(さくらんぼの蒸留酒)やラム酒、グランマルニエ(オレンジの蒸留酒)などを揃えて、使い始めてみると良いと思います。
(お菓子の材料の選び方はこちらの記事にまとめています。)
自分と甘みのセンスが会う人を探す
お菓子を作る時、自分が求める味とそのレシピの甘さの相性と言うのは結構大事だと思います。
パリの有名パティスリー巡りをしてみても、デコレーションも色も全て美しいのに何故か少量でも食べきれないで残してしまった、というような時は甘さの質が自分と合わないという時が多いですし、逆に自然食品系のレストランのデザートやお菓子は、健康に良さそうと自分に言い聞かせながら頭で食べないと、どれもパンを食べているような退屈な味のするものばかりの時もあります。
同じ人が作るお菓子は甘みの質が似通っていることが多いので、自分と合う甘みのセンスを持つ人のレシピをそのまま徹底して作ってみる、というのはお菓子を作る上で大切なことと思います。
水分の多い果実をタルトに使うときの注意点
今回ミラベルを使ったお菓子を作るとき、最初はタルト生地を使わない、一口サイズの焼き菓子を作ろうかと思ったのですが、ミラベルは加熱すると結構水分が出てくるので、生地が柔らかくなりすぎてしまい、やはりタルト型に入れることにしました。
水分の多い果実をタルトにするとき(生地で包んで焼くだけ・型なしタルトの投稿なども参考にしてみてください)、以下の3つの方法を試すと良いです。
- 型に入れる前に軽くソテーして汁気を飛ばす
- 種を抜かずにそのまま焼く
- アーモンドクリームなどを多めに敷き、皮を下側にして焼く
今回は一番最後の3.の方法にしました。
本当は皮がある方を上にした方が綺麗な仕上がりになるのですが・・・。そうすると下の生地に果実の水分が全部落ちてびちゃびちゃになるので、切り口を上にします。
1.の型に入れる前にソテーする方法は、タルトの中いっぱいに隙間なく果実を詰めたい、という場合などにいいと思います。
2.の種を抜かずにそのまま焼く、というのは日本ではあまりやらないと思いますが、ヨーロッパでは結構多いかも。さくらんぼのクラフティなんかも、生地に赤色をつけたくない、とさくらんぼをの種を抜かず丸いまま入れこんで焼いたりするレシピもあります。
フィレンツェの伝統菓子にスキアッチャータという、フォカッチャにぶどうと砂糖を乗せて焼くお菓子があるのですが、お店で買う時、種なしか種ありかどちらが良いか?と聞かれたりします。小さめのぶどうの種をいちいち取り除くわけでは無いので、ここで種ありを選んだ場合、ガリガリと種ごと食べます。ワイルド!
日本では生のミラベルは手に入らないと思うので、市販のミラベルのシロップ漬けやジャムなどを使用するか、他の果実で代用して下さい。その場合、果実の水分量をよく見極めてみて下さい。
使用する材料
使用する道具
レシピをもっと見る
・基本のタルト生地
・濃厚ビターな大人のチョコレートタルト
・フランスの家庭の味・キッシュロレーヌのレシピ
フランスの初秋の果実・ミラベルのタルト
- Total Time: 2 hours
- Yield: 1 台(20cmのタルトリング) 1x
Description
フランスの初秋に一瞬だけ出回る小さな果実、ミラベル。シンプルに香り高いタルトに。
Ingredients
パートサブレ(1単位分)
- 125 g 薄力粉
- 80 g 無塩バター
- 35 g 粉砂糖
- 25 g アーモンドプードル
- 25 g 卵黄+水
- ひとつまみ 塩
アーモンドクリーム
- 15~20 個 ミラベル
- 45 g 無塩バター, (室温)
- 40 g 粉砂糖
- 1 卵黄
- 50 g アーモンドプードル
- 15 g フルーツの蒸留酒(ミラベルの蒸留酒、キルシュなど)
Instructions
準備
- ミラベルを半分に切って、種を取り除いておきます。
パートサブレを作る
- パートサブレを一単位分用意します。
- フードプロセッサーにダイス状の固いバターと薄力粉、アーモンドプードル、粉糖、塩を合わせて入れ、粉チーズ状にします。
- 手で作る場合、薄力粉、アーモンドプードル、粉糖、塩の中にバターを置き、カードでできるだけ細かく切り刻みます。
- 卵黄・水を加えて一つにまとまるまで混ぜます。
- 台に取り出して、まとまるまで軽く練ってまとめます。
- ラップに包んで、1時間〜1晩休ませます。
アーモンドクリーム を作る
- 柔らかくしたバターをボールに入れ、粉砂糖と合わせて白っぽくなるまで混ぜます。
- 卵黄、アーモンドプードル、オードヴィーを加えて混ぜます。
組み立て
- 用意してあったパートサブレを綿棒でのばし、20cmのタルトリングに敷き込み、底にピケしておきます。
- アーモンドクリームの生地をタルトの下に敷いて均等に伸ばし、ミラベルを皮を下側にして並べる。
- 170〜180度のオーブンで30〜35分ほど焼きます。
Notes
アーモンドクリームにお酒を加えたくない、という時は牛乳や生クリームで代用して下さい。
- Prep Time: 30 minutes
- 生地を休ませる: 1 hours
- Cook Time: 30 minutes
- Category: タルト&パイ
- Cuisine: フランス
Nutrition
- Serving Size: 1 grams
- Unsaturated Fat: 0
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