カリカリに揚げた生地になめらかなリコッタクリームをたっぷり詰めた、イタリア・シチリア島のお菓子カンノーリのレシピです。
カンノーロとは?
カンノーロは、イタリア・シチリア島の伝統菓子。 小麦粉で作った生地を筒状に揚げて、リコッタチーズクリームを詰めたお菓子です。
カンノーロはティラミスやババと並んでイタリアのお菓子として有名で、シチリア島だけではなくイタリア全土で売られています。
外側のカリッとした生地と、中の濃厚なリコッタクリームのコントラストが絶妙で、一度食べたらやみつきになる食感です。
カンノーリに欠かせないリコッタクリーム
シチリアなど南イタリアのお菓子にはリコッタクリームがよく使われます。 南イタリアの家庭では、脂肪分の多いマスカルポーネの代わりにリコッタでティラミスを作る家庭も少なくないくらいです。
リコッタは日本ではあまり使われないクリームですが、よく水切りしたリコッタクリームに砂糖を合わせると、軽いリコッタとは思えないほど濃厚なクリームになります。
さらに、イタリアのシチリア島で食べられているリコッタは特に濃厚で、もちろんカンノーロの中に詰められたリコッタクリームもすごく濃厚です。
これは、シチリアでは主に羊乳のリコッタが使われているからです。 羊乳は牛乳に比べて乳脂肪分やミネラルが豊富なので、クリームも濃厚になるのです。
羊乳のリコッタはなかなか手に入らないとは思います。以前自家製リコッタのレシピをご紹介しましたが、牛乳に生クリームを混ぜると市販の牛乳リコッタよりも濃厚なリコッタができます。参考にしてみて下さい。
カンノーロとカンノーリの違い
どちらも同じイタリア語ですが、イタリア語では語尾が変化して複数形を示すので、単数形はCannolo(カンノーロ)、複数形はCannoli(カンノーリ)となります。
例えば、イタリアのスパゲッティspaghettiも複数形で、スパゲッティを1本だけ指す場合はspaghettoとなります。まあスパゲッティを1本だけ食べることはほとんどないので、"spaghetti "という言葉を聞くことはほとんどありません。
カンノーロの場合、1つだけ食べることもあれば、何個も作ることもあるので、カンノーロ、カンノーリという両方の名前を聞くことが多くなったのだと思います。
アメリカでは、単数形のカンノーロではなく、複数形のカンノーロが(複数形と認識されずに)使われているので、英語の複数形の-sを付けて、cannolis 「カノーリズ」と呼ばれているそうです。
余談ですが、近年イタリアでも日本の寿司が有名になりましたが、イタリア人の多くは寿司Sushiを複数形とみなしていて、寿司を指すときは複数定冠詞をつけてi Sushiと呼ぶ人が多いです。
カンノーロの歴史
カンノーロの原型は紀元前のローマ時代にまでさかのぼると言われており、キケロが書いた文章には「小麦粉の筒に柔らかいミルククリームを詰めたもの」に魅了されたことが記されています。
もちろん、現在のカンノーロとは全く違っていたと考えられていて、現在の形に似たリコッタチーズと砂糖を混ぜたクリームは、アラビアから導入されたとされています。
このリコッタチーズと砂糖を混ぜたクリームは、シチリアのお菓子「カッサータ」にも使われていて、シチリアのお菓子によく使われるクリームのレシピです。
その他、シチリアの都市カルタニセッタの修道女が古代のレシピを作り直したという説、パレルモのサンタ・マリア・ディ・モンテ・オリヴェート修道院で生まれたという説、カーニバルで生まれたという説などがあります。
いずれにしても、アラブの影響を受けたイタリアのシチリア島で作られ、おそらくアラブのシチリア統治時代に現在の形になったことは間違いなさそうです。
映画 "ゴッドファーザー "にも登場するカンノーロ
カンノーロは映画『ゴッドファーザー』に2度登場します。
最初は1972年に公開された『ゴッドファーザー』です。
クレメンツァは一族の裏切り者と疑われるポーリーを殺すよう命じられます。実行する日の朝、妻は彼にカンノーロを買ってくるよう頼みます。ポーリーを撃ち殺した後、現場を後にする仲間にクレメンツァはこう言うのです。
「Leave the gun. Take the cannoli.(銃は置いとけ、カンノーリを持ってきてくれ)」
次にカンノーロが登場するのは、1990年の映画『ゴッドファーザーPARTIII』。
これは単なるセリフではなく、本物のカンノーロが登場するシーンです。彼がカンノーロを手でつかみ、おいしそうにかみしめる場面ですが、驚いたことにこれはコニーがカンノーロを使ってドン・ドン・アルトベッロを毒殺しようとする場面です。
材料
カンノーリ生地
- 薄力粉
- グラニュー糖
- 塩
- ラード(または無塩バター)- 先ほど述べたスフォリアテッラのレシピのように、南イタリアのレシピではしばしばバターの代わりにラードが使われます。ラードはバターよりもサクサクした食感になりますが、少量であればバターで代用できます。
- 卵
- ワイン(白ワイン、赤ワイン、マルサラなどの酒精強化ワインなど) ワインを加えることで、生地がのばしやすくなり焼成時に膨らみやすくなります。イタリアのレシピではよく生地にワインが加えられますが、これは特に伝統的なレシピでは安全な水を入手することが難しく、ワインは汚染されにくいためと言われています。
お好みでココアパウダーを生地に加えて下さい。
リコッタクリーム
- リコッタチーズ - 市販のものでも自家製でも可(レシピはこちら)
- 粉砂糖 - グラニュー糖を使うこともありますが、グラニュー糖は水分を引き出しやすいので、リコッタチーズの水分が十分に抜けていないと水っぽいクリームになってしまいます。 粉砂糖は失敗しにくいのでおすすめです。
私はリコッタクリームにチョコレートチップを加えましたが、最後にトッピングとしてデコレーションすることもできます。
作り方
リコッタクリーム
なめらかで濃厚なリコッタクリームを作る秘訣は、まず水気をよく切ること、そしてリコッタと砂糖をよく混ぜることです。
以前、シチリアのシェフからこのリコッタクリームの作り方を教わったことがあります。 リコッタを重石でよく水切りし、スタンドミキサーのホイッパーで30分も(!)高速で混ぜ続けました。
今回は少量なのでハンドミキサーを使いましたが、フードプロセッサーを使っても同じようになめらかに仕上がります。
リコッタチーズは使う前に水切りします。
ザルにキッチンペーパーを敷き、リコッタをのせて冷蔵庫に入れます。できれば一晩置きます。
時間がなければキッチンペーパーを頻繁に変えると早く水切りできます。
軽く押してみて水分が染み出さないくらいまでよく水切りします。
ボウルに水切りしたリコッタと粉砂糖を入れます。電動ミキサーまたはフードプロセッサーでなめらかになるまでよく混ぜます。(電動ミキサーで混ぜるときは最初から高速で混ぜると粉砂糖が飛び散りやすいので、低速→高速で混ぜてください)
お好みでチョコチップを加えます。
大きめの丸口金をつけた絞り袋にリコッタクリームを入れ、使うまで冷蔵庫に入れておきます。
カンノーロの生地
ボウルに薄力粉、グラニュー糖、塩、ラードを入れてざっと混ぜます。
溶いた卵とワインを加えてひとまとまりになるまで混ぜます。粉っぽいようならワインを足してください。
台のうえに生地を取り出して、なめらかな生地になるまでこねます。
ラップに包んで2時間以上、冷蔵庫で生地を休ませます。
カンノーリ準備&揚げる
打ち粉をした台の上に生地を取り出し、1.5mmの厚さにのばします。(生地はタルト生地などよりかなり薄めです。揚げたとき膨らみますし、厚いと固い口当たりになってしまいます。)
直径10cmの円にくりぬきます。
型に生地を巻き付けます。閉じ目は水を塗ってのりの代わりにします。
170度に熱した油で型ごと揚げます。焦げやすいので温度は若干低めにします。生地を回転させながら5分程度、きれいな褐色になるまで揚げます。
生地を油に入れると出る大きな泡が、中まで揚がると泡が細かく少なくなってきます。泡がなくなってきたら中まで火が通っているサインです。
油を切ってキッチンペーパーの上に置きます。生地を油から出すとき、筒の中に油がたくさん溜まっているのでしっかり切ってから取り出すようにして下さい。
粗熱が取れたら型から外します。(冷めると生地が型から取り外しにくくなるので、温かいうちに生地を型から取り外してください)
リコッタクリームを詰める
冷えたカンノーリにリコッタクリームを両側から詰めます。
お好みで刻んだピスタチオやオレンジピール を飾り、粉砂糖をふりかけてできあがりです。
残った生地は適当な大きさにちぎって揚げ、粉砂糖をまぶすと簡単なおやつになります。
イタリアには、カーニバルの時期に食べる「キアッケレ」というお菓子があります。小麦粉、バター、砂糖、卵で作った生地を適当な大きさに切り、揚げて粉砂糖をまぶしたものです。
日本ででいう、揚げたたパンの耳に砂糖をまぶしたような再利用のお菓子です。
カンノーロの保存と日持ち
カンノーロの皮(筒?)
直射日光を避け、保存容器などに入れて保存して下さい。日持ちは 4~5日程度です。
リコッタクリーム
ジッパーバッグや使い捨ての絞り袋に入れて冷蔵庫で約3~4日保存できます。卵で作るカスタードクリームよりも長持ちしますが、砂糖の量や冷蔵庫の温度にもよるので、3日目以降は必ず試食して状態を確認してから使ってください。
カンノーロ
カンノーリの皮にクリームを詰めた場合は、冷蔵庫で保存してください。ただし、リコッタクリームの水分で皮がふやけてしまい、時間が経つと皮のサクサクした食感が失われてしまうので、なるべくクリームを詰めたらすぐに食べて下さい。
クリームを詰めてから時間を置く場合、カンノーロの皮の内側にチョコレートを塗って乾かし、その後クリームを詰めると、皮がふやけるのを防ぐことができます。
使用する道具
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Print映画「ゴッドファーザー」に登場するイタリア・シチリアの伝統菓子カンノーリのレシピ
- Total Time: 1 hour 15 minutes
- Yield: 8個分 1x
Description
カリカリに揚げた生地になめらかなリコッタクリームをたっぷり詰めた、イタリア・シチリア島のお菓子カンノーリのレシピです。
Ingredients
カンノーリの生地
- 125g 薄力粉
- 15g グラニュー糖
- ひとつまみ 塩
- 15g ラード(または無塩バター)
- ½個 卵
- 30ml ワイン(白・赤ワインどちらでも。マルサラでも可)
リコッタクリーム
- 250g リコッタチーズ
- 75g 粉砂糖
デコレーション(お好みで)
- チョコチップ
- ピスタチオ
- オレンジピール
Instructions
カンノーリの生地
- ボウルに薄力粉、グラニュー糖、塩、ラードを入れてざっと混ぜます。
- 溶いた卵とワインを加えてひとまとまりになるまで混ぜます。粉っぽいようならワインを足してください。
- 台のうえに生地を取り出して、なめらかな生地になるまでこねます。
- ラップに包んで2時間以上、冷蔵庫で生地を休ませます。
リコッタクリーム
(リコッタチーズを手作りする場合はこちら)
- リコッタチーズは使う前に水切りします。
ザルにキッチンペーパーを敷き、リコッタをのせて冷蔵庫に入れます。できれば一晩置きます。
時間がなければキッチンペーパーを頻繁に変えると早く水切りできます。
軽く押してみて水分が染み出さないくらいまでよく水切りします。 - ボウルに水切りしたリコッタと粉砂糖を入れます。電動ミキサーまたはフードプロセッサーでなめらかになるまでよく混ぜます。(電動ミキサーで混ぜるときは最初から高速で混ぜると粉砂糖が飛び散りやすいので、低速→高速で混ぜてください)
- お好みでチョコチップを加えます。
- 大きめの丸口金をつけた絞り袋にリコッタクリームを入れ、使うまで冷蔵庫に入れておきます。
カンノーリ準備&揚げる
- 打ち粉をした台の上に生地を取り出し、1.5mmの厚さにのばします。(生地はタルト生地などよりかなり薄めです。揚げたとき膨らみますし、厚いと固い口当たりになってしまいます。)
- 直径10cmの円にくりぬきます。
- 型に生地を巻き付けます。閉じ目は水を塗ってのりの代わりにします。
- 170度に熱した油で型ごと揚げます。焦げやすいので温度は若干低めにします。生地を回転させながら5分程度、きれいな褐色になるまで揚げます。
生地を油に入れると出る大きな泡が、中まで揚がると泡が細かく少なくなってきます。泡がなくなってきたら中まで火が通っているサインです。 - 油を切ってキッチンペーパーの上に置きます。生地を油から出すとき、筒の中に油がたくさん溜まっているのでしっかり切ってから取り出すようにして下さい。
- 粗熱が取れたら型から外します。(冷めると生地が型から取り外しにくくなるので、温かいうちに生地を型から取り外してください)
リコッタクリームを詰める
- 冷えたカンノーリにリコッタクリームを両側から詰めます。
- お好みで刻んだピスタチオやオレンジピール を飾り、粉砂糖をふりかけてできあがりです。
Notes
余った生地はそのまま適当な大きさにちぎって揚げ、粉砂糖をふりかけて召し上がってください!
- Prep Time: 1 hours
- Additional Time: 0 hours
- Cook Time: 15 minutes
- Category: デザート
- Cuisine: イタリア
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