牛乳、レモン汁、塩。たったこれだけの材料で30分もあれば新鮮なリコッタ チーズができてしまいます。一度自分で作ってしまうとその簡単さとおいしいさにびっくり。
さらに以前シチリアで食べたこってりした濃厚なリコッタ を再現したくて、さらにおいしく作れるレシピを考えてみました。
絶品、シチリア産リコッタチーズ!
シチリアのシラクーザのレストランで食べた前菜。ピスタチオの名産地ブロンテも近いのでピスタチオも美味しかった!
以前シチリアを旅行した時にレストランで出てきたリコッタチーズがとても美味しかったのです。作りたての生温かいリコッタチーズにピスタチオがかけられているだけの一皿だったのですが、びっくりするくらい味が濃厚。
リコッタチーズはスーパーでもよく買っていたのですが少し粉っぽくクセが全くない「無味」という印象で、それだからこそいろんな料理に使いやすいチーズなんだろうな、と思っていました。
それがシチリアで食べたのは全く違い、なめらかで濃厚、何かと混ぜるなんてもったいないくらいそれだけで主役!の美味しさ。いくらでも食べられそうでした。
例えていうならスーパーのパックされたお豆腐とお豆腐やさんのできたてのお豆腐の違いといった感じでしょうか。リコッタってできたてはこんなに美味しいんだ、と感動しました。
そして聞いたところによると、もうひとつ秘密が。
シチリア島の南東の街、シラクサにある大聖堂
それはシチリアで作られているリコッタは羊乳で作られているものが多いこと。
もともとリコッタはイタリアのいたることころで作られていて、牛乳をはじめ羊乳、山羊乳、水牛乳などでも作られています。特にシチリア、カラブリア、カンパーニアなどの南イタリアでは羊乳でリコッタが作られていることが多く伝統食品となっています。
シチリアは特にカンノーリなどのお菓子にもリコッタが使われることが多く、シチリアで作られたカンノーリは他の市販のものと全く味わいが違ったのでなんでだろう??と思ったのもシチリア産リコッタについて知るきっかけになりました。
チーズでも羊乳で作られているものは山羊乳のものほどクセが強くなく、それでいて濃厚なコクを感じることができますよね。
シチリアで食べたリコッタは出来立ての美味しさに加えて、羊乳で作られていることがさらなる濃厚さを生み出していたんですね。
リコッタチーズとは
リコッタ ricottaはイタリア語で ri(再び)cotta(煮る)という意味。
普通チーズを作るとき、生乳に凝固剤を加えて固まってきたものを集めて「チーズ」にします。その時に出てくるあまった水分(乳清/ホエー)を再び加熱して作られるのがリコッタ。
つまりリコッタってあまりものを再利用して作られているチーズとも言えます。チーズを作る時にあまった部分を利用しているため、低脂肪でさっぱりしているのも特徴。
カッテージチーズとの違い
そしてリコッタチーズに似ているのがカッテージチーズ。こちらはオランダが原産で、牛乳の脂肪分を取り除いた脱脂乳を原料に作られるフレッシュチーズです。
脱脂乳を使用しているため、こちらも低脂肪のフレッシュチーズ。製造方法は若干違うもののリコッタチーズとカッテージチーズはかなり似た特徴を持っています。
家庭でリコッタチーズを手作りする場合、わざわざ他のチーズを作ってその余った水分を使う、というのは手間がかかるため牛乳などから直接作る方が簡単です。なので今回の作り方はリコッタチーズまたはカッテージチーズ、どちらとも言える作り方です。
フランスで売られている牛乳の種類
フランスで売られている牛乳は乳脂肪分の違いによって3種類の牛乳が売られています。(殺菌方法の違いも含めるともっと膨大な種類があるのですが今回は乳脂肪分の違いについてです!)
- lait entier(レ アンティエ)
脂肪分がカットされていないもの。乳脂肪分3.5%以上。 - lait demi-écrémé(レ ドゥミエクレメ)
demiは半分という意味で、その名の通り脂肪分が半分カットされているもの。乳脂肪分1.5%〜1.8%。 - lait écrémé(レ エクレメ)
脂肪分がすべてカットされたもの。
この3つの種類の牛乳から目的に合わせて選びます。だいたい普段飲むにはドゥミエクレメ、お菓子作りや子供に飲ませるにはアンティエ、ダイエットなどにはエクレメというような感じで使い分けている人が多いように思います。
自家製リコッタチーズの作り方
近所のスーパーで羊乳が売られていたので(一体羊乳でみんな何を作っているのかそれはそれで気になるところですが)今回は羊乳を1パック、1リットル使って作ります。羊乳が手に入らなければ牛乳で。出来るだけ乳脂肪分が高い牛乳を選んでください。
Brebisというのが羊という意味で、lait de Brebisで「羊乳」
今回手に入れた羊乳は残念ながら、脂肪分が半分カットされているdemi-écréméしかありませんでした。濃厚に仕上げたかったのでアンティエがよかったのですが見つからなかったため、生クリームを加えました。もちろん牛乳で作るときも生クリームを加えるとより濃厚な口当たりになります。
まず鍋に羊乳1リットルと塩、必要なら生クリーム1/2〜1カップを加えて火にかけます。
鍋のまわりに小さい泡が立って沸騰直前になったらレモン汁を加えて、弱火にして軽くかき混ぜます。
ほろほろと固まりができてきたら火を止めて、そのまま10分ほどおきます。
ボールにガーゼ(またはキッチンペーパー・不織布など)を敷いたザルにあけて水を切ります。
そのまま食べるなら30分くらい置いたまだ完全に水がきれていない状態で食べるのが美味しいです。料理やお菓子に使うなら2時間ほど置いて水をよく切ります。出来上がりは30分くらい置いた状態で500g程度、しっかり水切りをした状態で250g程度です。
まだ生温かい、できたてを食べるとわずかな弾力とクリーミーな口どけ、塩味とレモンのわずかな酸味が残っていてこれだけでチーズケーキを食べているような美味しさ。
以前紹介したリコッタにバジルとレモンの皮、はちみつをかけたブルスケッタなんかもリコッタを手作りすればもっと美味しくなるはずです。
→レシピをもっと見る
・初夏にさわやか!リコッタとレモン、バジルとはちみつのブルスケッタ
・イタリアで毎日作ったティラミスのレシピ!
・エスプレッソコーヒー風味の白いパンナコッタ
自家製リコッタチーズの作り方
- Total Time: 30 minutes
- Yield: 250 g(出来上がり量) 1x
Description
自宅で簡単にできるリコッタチーズの作り方
Ingredients
- 1 リットル 羊乳または牛乳, (できるだけ脂肪分の高いもの)
- 大さじ3 レモンの絞り汁
- 小さじ1 塩
- ½〜1 カップ 生クリーム, (必要なら)
Instructions
- 鍋に羊乳または牛乳1リットル(と生クリーム)と塩を入れて火にかけます。
- 沸騰直前(お鍋の淵に泡ができるくらい)になったら弱火にし、レモン汁を少しづつ加えながらよくかき混ぜます。
- ほろほろと固まりになり始めたら火を止め、10分ほどおきます。
- ボールにガーゼ(またはキッチンペーパー・不織布など)を敷いたザルを置き、3を注ぎ入れます。
- そのまま食べるなら10分くらい置いた、まだ水分が残るうちに食べるのが美味しいです。
- お菓子や他の用途で使う場合は1時間程度おき、しっかり水を切ります。
- 出来上がったリコッタチーズ はなるべく早く召し上がって下さい。(新鮮な出来立てが本当においしいです!)
- 残ってしまったら冷蔵庫で2日間保存できます。
Notes
- 1リットルの羊乳(牛乳)を使って、リコッタチーズの出来上がりは30分くらい置いた状態で500g程度、しっかり水切りをした状態で250g程度です。
- あとに残る乳清(ホエー)に牛乳を加えて固まるまでレモン汁を加えていくと繰り返し同じチーズができます。
- Prep Time: 10 minutes
- 休ませる時間: 10 minutes
- Cook Time: 10 minutes
- Category: お惣菜
- Cuisine: Italian
Nutrition
- Serving Size: 1 grams
- Unsaturated Fat: 0
outra_praia
こんにちわ。以前、ナポリのお菓子・パスティエーラの記事にコメントした者です。
羊乳の手作りリコッタチーズ、美味しそう!。
羊乳が羊乳で売られてるなんて、びっくりでした。
ポルトガルのチーズタルト、ケイジャーダを自己流で作って、
(ケイジャーダというより、パステル・デ・ナタ風になりましたが…)ブログにアップしたので、
記事を書いたのは結構前ですが、さっき、その中に、Chicca Foodさんの、パスティエーラの記事のリンクを、
追加で、貼らせて頂きました。事後申告になりますが、宜しくお願いします。
そう言えば、↓このケイジャーダのブログにも、イタリアのスーパーで食べたリコッタチーズの事を、偶然書いてました。
その時、リコッタチーズだけを、食べ続けたので、途中で食べ飽きてしまったんですよ。
シチリアのリコッタチーズ、ものすごく美味しそうです。食べてみたい。
日本では、ヨーロッパの地方のフレッシュチーズを食べる機会があまり無いので、憧れます。
https://minhapraia.exblog.jp/30606250/
Chicca Food
こんにちは!
リンクありがとうございます!
ポルトガルのパステル・デ・ナタは結構好きで、フランスでも最近じわじわ流行ってきたのか専門店を見かけることがあります。
ケイジャーダは知らなかったので勉強になりました!餃子の皮みたいな生地を敷くんですね。面白い。
ナポリにスフォリヤテッラというお菓子があるんですが、
それもパートブリックのようなかなり薄い生地にラードを塗ってパイ生地みたいな層を作って焼き中にリコッタのクリームが詰めてあるんですが
独特のパリパリした食感があって美味しいです。
パートブリックはチュニジアが発祥だそうですが、やっぱりケイジャーダやスフォリヤテッラもアラブ料理の影響があるのでしょうかね?
そうそう、私も最初のうちはリコッタってあまりそれだけで美味しい!という印象がなかったのですが、
シチリアに行って食べてからとても好きになって。
スーパーで羊乳と山羊乳が普通に売られていて私も驚きました!
羊乳のwikiに(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%8A%E4%B9%B3)
牛乳、山羊乳、水牛乳、羊乳のそれぞれの栄養価の比較がされているのですが、
これを見ると水牛でリコッタを作ってみても美味しそうですよね。
羊乳は山羊と比べて独特の風味はそんなにない代わりに脂肪分とタンパク質が多いようで、
牛乳に生クリームを足せば少しは羊乳のリコッタに近づくのではないかな?と思ってレシピ書きました。
ケイジャーダの記事にも書かれているように、フレッシュチーズとかクリームの料理やお菓子への使われ方って面白いですよね。
実はこのリコッタを使って焼きチーズケーキも作ってみたのですが、繊細な味が飛んでしまってダメでした。
このリコッタを使った美味しいお菓子レシピも一緒に紹介できればと思っていたのですが・・研究中です!
outra_praia
ケイジャーダと、スフォリヤテッラの生地の似てる御指摘、なるほどです。
イタリア旅行中に、ナポリで、ミラノのガレリア風のアーケードにあるお菓子屋さんで、スフォリヤテッラ、食べました。
普通のパイ生地よりも、油分少なめで、確かに、パリパリしてたなぁ…。
本物のケイジャーダは食べた事がないので詳しい所は分からないけど、パイ皮が、見たかんじ似てますね。
多分、スフォリヤテッラは、アラブ菓子のバクラヴァのような、
パイ生地の原形のフィロの、発展系か、姉妹的な菓子に思えるけど、
今では、ヨーロッパで少数派?っぽい感じの、パリパリ、カリカリ系のパイ皮、興味深いです…。
スフォリヤテッラは、アラブ系料理文化の影響が濃そうですね。
ポルトガルも、スペインと同様に、イスラム支配以降、料理文化が発展したような印象があり、
アラブ料理の影響は、とても濃いです。
フィロは、ギリシャやローマ帝国でも作られてたとの話もありますが…。
羊乳も水牛乳も、栄養豊富なんですね。日本の普段の乳製品は、牛乳の製品だけだなぁ。
やはり、ポルトガルも、羊乳や山羊乳のチーズがふんだんに有るそうです。
日本では、羊肉を探すのも中々苦労しますが…^^。
手作りリコッタチーズを使ったお菓子、ぜひ見てみたいですね。